Q:くい丸の溶融亜鉛メッキはドブメッキとは違うのでしょうか?

A:基本的には同じものです。

「ドブメッキ」は溶融亜鉛メッキの加工方法の一つを指す通称で、基本的には同じものです。溶かした亜鉛に鋼材を“ドブ漬け”することからその名が付き、「天ぷらメッキ」と呼ばれることもあります。

ではなぜ呼び名が区別されるかというと、それは加工方法によってメッキの「膜の厚さ(亜鉛の付着量)」が異なるからです。

亜鉛メッキは、鉄の代わりに亜鉛が錆びる「犠牲防食」という仕組みで鉄を守ります。この亜鉛の量は「電池の残量」のようなもので、量が多い(メッキが厚い)ほど、長期間にわたって防錆効果が持続します。

ドブメッキ 完成した部品を、高温で溶かした亜鉛の中に浸して分厚い亜鉛の膜を作ります。ややざらざらした表面仕上がりになります。
くい丸の本体パイプのメッキ パイプを製造する工程の中で、連続的にメッキ槽を通過させます。槽内を比較的早く通過してしまうため、膜厚はドブメッキに比べ薄くなりますが、亜鉛の純度などを高度に管理し、均一で密着性の高い高品質なメッキ層を形成しています。ツルツルした光沢のある表面仕上がりです。


なお、メッキ槽の中に溶かすのは純亜鉛ではなく亜鉛合金なので、(日本ではほぼありませんが)品質の低い、つまり亜鉛の少ない合金を使用した場合、十分な膜厚があるにも関わらず防錆力はそれほど高くなかった、ということも考えられます。製品を長期間守るメッキ加工は品質が非常に重要です。

 

参考:くい丸の厚メッキ仕様について

くい丸は、より耐久力を求めるお客さま向けに「厚メッキ仕様」をご用意しています。ドブメッキ加工されたパイプを採用しており、標準品に比べ高い耐久力が期待できます。もちろん国産パイプを採用しています。


参考:安価な「電気メッキ」との違い

くい丸が採用する「溶融亜鉛メッキ」と、ネジや屋内の小物などによく使われる「電気メッキ」には、防錆性能に大きな違いがあります。

項目 溶融亜鉛メッキ (ドブメッキ) 電気メッキ
原理 高温で溶かした亜鉛に浸す 電気の力で薄く付着させる
メッキ厚 厚い (数十μm〜) 薄い (数μm〜)
防錆力 非常に高い 限定的
見た目 溶融した金属の模様が出ることがある 均一で光沢があることが多い
用途 屋外の鉄骨、ガードレール、単管パイプなど 屋内の部品、安価なネジ、装飾品など

参考:メッキ槽に長時間漬ければどんどん錆に強くなる?

時間と効果の関係は、頭打ちになることが知られています。長時間漬ければ膜厚は増していきますが、膜が均一に形成されないことでウロコのように剥がれたり、つららのようになったりと別の不具合が起きやすくなります。製品としての仕上がりを考えれば、一定の限界があると言えます。