A: はい。くい丸に限らず、異なる種類の金属同士を接触させておくと、通常より急速に錆(さび)が進行することがあります。これは「電触(でんしょく)」と呼ばれる現象です。
電触(異種金属接触腐食)とは
電触は、「異種金属接触腐食」や「ガルバニック腐食」とも呼ばれます。これは、異なる種類の金属(例:鉄とアルミニウム、鉄とステンレス鋼など)が、水分を介して接触した状態にあると発生します。
金属にはそれぞれ固有の「電位」があり、この電位差によって一方の金属(より卑な金属、イオン化傾向が大きい金属)からもう一方の金属(より貴な金属、イオン化傾向が小さい金属)へと微弱な電流が流れます。この時、電位の低い金属(例:鉄や亜鉛)の腐食(錆び)が急速に促進されてしまう現象です。
身近な例として、ステンレス製のキッチンシンクに濡れたまま鉄製の包丁を置いておくと、一晩で包丁に錆が浮くことがあります。これも電触の一例です。
くい丸で電触が発生する可能性があるケース
くい丸には錆に強い溶融亜鉛メッキが施されていますが、電触が発生する環境下では、その防錆性能(特に亜鉛メッキ層の消耗速度)が通常よりも早く低下する可能性があります。
例えば、以下のようなケースでは注意が必要です。
- くい丸(亜鉛メッキ鋼管)を支柱にして、ステンレス製の溶接ネットを取り付ける場合。
- くい丸にステンレス製のチェーンやワイヤーを直接巻き付けたり、掛けたりする場合。
- 銅製の部材(アース線など)がくい丸に直接接触する場合。
このような異種金属が接触する可能性がある用途では、接触部に絶縁材を挟む、定期的な点検の間隔を短くするなど、設計・運用面での配慮が推奨されます。