街を歩くと、工事現場の周囲が高い鉄板で囲まれているのをよく見かけます。

これを建設業界では「仮囲い」と呼ばれ、使用されるパネルは「万能板」「万能鋼板(安全鋼板)」や、表面が平らな「フラットパネル」など様々な種類があります。現場の防犯や安全確保、防音・防塵のために欠かせません。
今回は、高さ2.5m〜3mにもなる仮囲いが強風で倒れないために、裏側で「くい丸」がどのような役割を果たしているのか、その構造や組み方を交えて解説します。
1. 仮囲い(万能鋼板・フラットパネル)の構造と組み方

仮囲いの万能板(パネル)同士は連結できるようになっていますが、板を立てただけでは当然自立しません。また、仮囲いは、風を受けると巨大な「帆」のように強烈な風荷重を受けます。
そのため、仮囲いの組み方としては、裏側に単管パイプ(太さ48.6mm)を用いて「控え枠(フレーム)」を組み、専用のフックボルトなどで万能板を引っ掛けるようにして固定する方法が一般的です。

透明(スケルトン)タイプの仮囲いの写真をご覧いただくと、裏側の単管フレームがどのように組まれているか、構造のイメージがつかみやすいかと思います。

2. 現場の安全を左右する「単管フレームの基礎」
単管で枠を組んだ後、安全上最も重要になるのが「そのフレームを地面にどうやって固定するか(基礎)」です。ここで「くい丸」が活躍しています。
工事現場では、単管パイプをカットしただけの「単管杭」を地面に打ち込んで基礎とするケースが多く見られました。しかし、単管杭は地中での摩擦力が弱く、台風や突風が吹いた際に仮囲いが基礎ごと引き抜かれて転倒する事故度々発生していたそうです。
そこで、単管杭に比べ高い支持力を持つくい丸が普及していきました。使い捨てになりやすい単管杭に比べて再利用性(リユース性)に優れていることも、仮囲いでくい丸が活用されている理由の一つです。
| 基礎の種類 | 引抜耐力(支持力) | 固い地盤への打ち込み |
|---|---|---|
| 単管杭(切りっぱなし) | 低い | 先端が変形しやすく、石に当たると曲がる |
| くい丸 | 単管杭の約2.5倍 | 尖ったハガネ製の先端が石を押し除けて入る |
3. 仮囲い基礎によく使われる「くい丸」のサイズと寸法
仮囲いの基礎を構築する際、パネルを直接支える縦方向の基礎と、斜めに支える控え枠側の基礎では、求められる強度が異なります。現場でよく採用されるくい丸のサイズ(太さ・長さ)と、標準的な根入れ(打ち込み深さ)の目安は以下の通りです。
| 用途・使用箇所 | よく使われるサイズ | 標準的な根入れ(打ち込み深さ) |
|---|---|---|
| パネル側の基礎 | 太さ48.6mm × 長さ1.5m | 1.0m前後 |
| 控え側の基礎 | 太さ48.6mm × 長さ1.1m | 0.6m〜0.8m前後 |
※太さ48.6mmのくい丸は単管パイプと同径のため、クランプなどの接続金具をそのまま使用してスムーズに枠を組み上げることができます。
4. 「約2.5倍の支持力」と「石混じり地盤への強さ」
くい丸は、単管杭と比較して約2.5倍もの高い引抜耐力(支持力)を誇ります。これにより、強風時でも万能鋼板が引き抜かれるリスクを大幅に軽減し、現場と周辺の安全を確保します。
単管杭では石に弾かれて打ち直しが発生しやすい地盤でも、ハガネの先端を持つくい丸であればスムーズに打ち込むことができ、仮設フェンス・仮囲い工事の生産性向上(時短)に大きく貢献します。