1. 安全な作業のための準備

(ア) 装備

① ヘルメット:安全作業の基本です。補助者の方も、ハンマーが頭に当たってしまうなどの万一の事故に備えて必ずヘルメットを着用してください。

② ゴーグル:くい丸の頭部は叩いても欠けない素材を使用しておりますが、ハンマーやくい丸に付着した砂などが打ち込み時の衝撃で飛び散ることがあります。作業者、補助者ともにゴーグルを着用してください。

③ 手打ちハンドル:補助者の方がくいを支えるときに、ハンマーが当たってしまう恐れがあります。手打ちハンドルを使用して、くいから離れたところで支えることで事故のリスクを減らすことができます。

④ ※軍手には注意!:ハンマー作業の場合は、軍手を着けたままだと柄が滑って大変危険です。必ず素手又はしっかしりた滑り止めのついたグローブで作業してください。その他の作業の時は軍手の着用をお勧めいたします。

(イ) 整理整頓

① くい丸の尖端は非常に硬い素材が使われています。また尖っているので人や物に当たったりすると思わぬケガや破損の可能性があります。現場は常に整理整頓し、持ち運び時も含めて、尖端が人や物に当たらないようにしてください。なお、くい丸は立てて保管すると倒れたときに危険です。必ず寝かせて保管してください。

2. 打ち込む道具を決める。

片手ハンマー地中に障害物のない土の地面の場合、おおむね太さ38.1mmまでのくい丸であれば、1kgの片手ハンマーで打ち込める場合が多くなっています。一人で作業しやすい分、安全に作業できます。しかし、他の方法に比べて打ち込み力には劣りますので、深く打ち込む場合などにはやや不向きと言えます。
大ハンマー太いくい丸(太さ42.7mm以上)を固い地面に打ち込む場合には大ハンマーのご使用をお勧めします。くいが自立するまでの間を支える補助者の方が必要になる場合があります。
電動ブレーカー電動ブレーカー(ハツリ機)でくい丸を打ち込む事ができます。大量の杭打ち作業も格段に楽に、そして速くなります。別途くい打ち丸(R)電動ブレーカーキャップと、それに対応した電動ブレーカー本体が必要です。対応機種は100V電源が使用できますので、電源の確保も比較的容易です。電動ブレーカー本体については建機系のレンタル屋さんで借りることもできます。
エアブレーカー専用アタッチメントをご利用頂くことで、エアブレーカー(ハツリ機)でくい打ちできます。ハンマー作業に比べて3倍のスピードで施工できた事例もあります。対応のエアブレーカー(特にCB-20)は、ほとんどの建機系のレンタル屋さんで借りることができ、プロの方ならお持ちの方も多いのではないでしょうか。ホースの取り回しの関係上、例えば山の中での作業等には向いていない場合もあります。
油圧杭打ち機専用アタッチメントを使えば、油圧杭打ち機でくい丸が打ち込めます。油圧だけにパワーにも定評がありますが、エアブレーカーと同じくホースの取り回しには注意が必要です。

3. 杭打ち作業の進め方

(ア) 打ち込むポイントを決める

① 作業前に、必ず地中に埋設管等がないか確認してください。

② ガードフェンスを立てる場合など、あらかじめ決まった間隔でくいを打ち込む場合には、あらかじめポイントをスプレーなどでマーキングしておくと作業が進めやすいでしょう。

(イ) くい打ちする「角度」を考える

① 風養生などは角度をつけるのが基本

1. 風養生や仮囲いなどの控えのくいとして打ち込む場合には、力が掛かる方向と反対に角度をつけて打ち込む方が、より効果を発揮します。

② くいを真っ直ぐ打ち込むために

1. 残念ながら、ハンマーにせよブレーカーにせよ、こうすれば確実に真っ直ぐに打ち込める、という方法はありません。頻繁にくいが真っ直ぐに入っているか確認し、微修正しながら打ち込むのが最良の方法です。

(ウ) 打ち込む深さを考える

① くいの地中に入っている部分を「根入れ」と言います。非常によく聞かれる質問の一つに、「どのくらい根入れすればいいですか?」というものがあります。これは用途(力のかかる場所と大きさ)と土質によって変わってきますので、一概にこれだけ根入れすればよい、ということは言えません。あくまで一つの目安ではありますが、ロープ柵などの用途でもくいの全長の1/3程度の根入れを念頭に置いてください。当然のことですが、「より柔らかい土質に、より高いところに、より大きな力がかかる」場合にはより深く根入れする必要があります。

4. ハンマーで打ち込む

(ア) 慣れない方にとっては、大ハンマーを的(くい丸の頭部)に当てるのもままならない、ということも良くあるのですが、楽に作業するちょっとしたコツがあります。そのコツとは「叩きつけない」ということなんです。叩かないと打てないじゃないか、とお思いの方もいらっしゃると思いますが、実は多くの方が、しっかりと打ち込もうとしてまるでお餅をつくように思い切り振り上げて思い切り叩きつけてしまっているんです。これではなかなか的にあたりません。プロの鳶さんは決して叩きつけません。振り上げたハンマーの先を的の上に落としてあげるような感じでコツーンコツーンと打っておられます。力を入れて叩かなくても結構くいは入っていくので、これで十分なんですね。

5. 機械で打ち込む

(ア) 基本的にはどの機械で打ち込む場合でも、①専用キャップを機械に取り付け、②くい丸にかぶせて、③トリガーを引くだけととても簡単です。注意したいのは機械にはそれなりの重量がありますので、くい丸にかぶせるときに結構な高さまで持ち上げなければなりません。安全に持ち上げることができるように踏み台を用意する等すると良いでしょう。ただし、不安定な踏み台等での作業は危険ですので、必ずしっかりした足場になるようにしてください。もう一点注意して頂きたいのは、機械を使って斜め打ちすると、打撃の反動でキャップがくいから外れてしまう危険性があります。キャップは鉛直方向への打ち込みを想定して開発されていますので、斜め打ちへのご使用はあくまで自己責任の範囲内でお願いいたします。

(イ) 参考:バックホーのバケットでくいを押し込む作業は、建設機械の用途外使用となります。