
「土留め(どどめ)」と聞くと大規模な土木工事を想像しがちですが、実は災害復旧時の応急処置、裏山の斜面崩れ防止、庭のガーデニングの仕切りなど、DIYや小規模な用途でも非常に多く作られています。
今回は、お客様がご自身の保有林に山道を切り開いた際、伐採した木(丸太)をそのまま活かして土留めを構築されたエコで実用的な事例をご紹介します。
1. 土留めの仕様と施工スペック

現場では、横からの土の圧力(荷重)をしっかり分散させるため、くい丸の打ち込み間隔をやや狭めに設定して強度を確保されていました。
| 項目 | 仕様・寸法 |
|---|---|
| 使用した丸太 | 直径 約15〜20cm(7段積み) |
| 土留めの高さ(地上高) | 約1.2m |
| くい丸の設置間隔(ピッチ) | 約50cm間隔 |
| くい丸の打ち込み深さ | 約0.8m |
今回の現場は事前に地盤の状態が分からなかったため、余裕をもって長さ2mのくい丸を選定。土留めに必要な高さ(約1.2m)を残して、残りをすべて打ち込む形で施工されました。結果として根入れは約0.8mとなり、目安を十分に上回っています。
※実際の必要深さは、地盤の固さや土質によって大きく変わるため、あくまで参考基準として捉え、十分な安全を確認して設計・施工してください。
2. 番線(針金)と「土圧」を利用した合理的な構造

今回の事例では、くい丸と丸太は番線(太めの針金)で結束されていました。
一見すると「番線だけで強度は大丈夫?」と不安に思われるかもしれませんが、土留めの場合は丸太の裏側に土が溜まると、その土圧によって丸太がくい丸に押し付けられ、自然と安定する仕組みになっています。つまり、土留めとして機能し始めるまで丸太の形が崩れなければよいため、仮に将来的に番線が錆びて切れてしまったとしても、丸太が大きく崩れるリスクは小さくなります。
逆に言えば、番線が主役として働くのは施工直後から土が締まるまでの間です。この期間に丸太がずれないようしっかりと結束しておくことが、長く安定させるためのポイントになります。
3. 丸太ならではの「水はけの良さ」

写真からも、丸太が精度良く積み上げられ、非常に美しい土留めが完成していることが分かります。
土留め構造において厄介なのが雨水などによる「水圧」です。完全に密閉された擁壁などでは、土圧に加えて水圧が強くかかりますが、丸太を用いた土留めは隙間からじわじわと水が抜ける(水が通る)ため、水圧を逃がすことができます。理にかなった非常に優れた土留めだと言えます。
4. 資材を活かした低コスト施工
今回はお客様ご自身の保有林から出た伐採木を再利用されたため、かかった資材費用は「くい丸」の代金のみです。十数メートルの区間に長さ2mのくい丸を20本程度使用し、低コストな土留めが実現しました。
打ち込みには軽トラックに発電機を積み、電動ハンマー(はつり機)を使用することで、労力を抑えつつスピーディーに施工を終えられています。機種の選び方やレンタルの活用については、くい丸の杭打ちをはつり機・電動ハンマーで効率化もあわせてご覧ください。
5. 土留めの構造計算もご相談下さい
今回はお客様の私有地での事例でしたが、公共工事や大規模な現場などでは「土留めの安定計算」が求められる場合があります。当店ではくい丸を使用した土留めの構造計算・安定計算も承っておりますので、法人様・官公庁様もお気軽にご相談ください。