くい丸のめっき
くい丸の防錆性能について、よくお客様から質問されるのが「くい丸はサビに対して何年くらい持つのか」という点です。
めっきとは
鉄を錆から守る方法にはさまざまなものがありますが、その中でも広く利用されているのが「溶融亜鉛メッキ」です。この方法は、鉄の表面に薄い亜鉛の膜を形成し、犠牲防食作用によって母材である鉄を錆から保護します。犠牲防食とは、亜鉛が鉄よりも先に酸化されることで、鉄自体の酸化(錆)を防ぐという仕組みです。
溶融亜鉛メッキは、ペンキやコーティング材による塗装と比較しても、優れた特性を持っています。特に、めっき膜に多少の傷がついても、亜鉛の犠牲防食効果によってある程度の防錆効果を保つことができる点が大きな特徴です。このため、さまざまな環境で鉄製品の長寿命化を実現するために多くの場面で活用されています。
くい丸のめっきとJISグレード
くい丸(鉄杭)の本体には、溶融亜鉛メッキが施されており、これにより効果的に錆を防ぐことが可能です。溶融亜鉛メッキによる防錆効果は、特に屋外や湿度の高い環境で高い効果を発揮し、長期にわたって鉄を保護します。
めっきのグレードは、日本産業規格(JIS)によって定められており、一般的に参照されるのは「JIS H 8641(溶融亜鉛めっき)」です。この基準に基づき、くい丸の鍍金のグレードはHDZ 15~25相当であることが示されています。これは、一般的にホームセンターで販売されている単管(鉄パイプ)と同程度の防錆性能を持つと考えてよいでしょう。
また、くい丸にはより高い防錆性能を持つ「ドブメッキ鋼管」を使用した製品もラインナップされています。この製品は、特に錆が発生しやすい環境や、長期的な使用が想定される場所に適しています。たとえば、太陽光発電施設やフェンスの基礎など、長期間にわたって腐食対策が求められる現場での使用が推奨されます。現在、このドブメッキ鋼管を使用したくい丸は、太さ48.6mmのものが用意されています。
サビの進行スピード
サビの発生や進行は、使用される環境によって大きく左右されるため、一概に答えることは難しいものの、参考となるデータがあります。例えば、(一社)ステンレス協会が実施した10年間の鋼管埋設実験によると、サビの進行スピードは1年あたり平均0.014mmという結果が得られています。この実験では、メッキなしの鋼管が使用されたと推定されるため、実際の使用環境においては、溶融亜鉛メッキが施されたくい丸の方が優れたパフォーマンスを発揮することが期待されます。
太さ48.6mmで、肉厚が2.4mmのくい丸を例に挙げると、サビの進行スピードがこの実験データ通りだとすると、10年で約6%、20年で約12%がサビによって肉厚が失われることになります。
しかし、くい丸には溶融亜鉛メッキが施されているため、同じ環境でもこれよりも遅い進行速度でサビが進むことが予想されます。
このように、くい丸はさまざまな環境下で安定した防錆効果を発揮するため、長期的な使用にも安心して利用できる製品です。