A: 使用目的や設置環境によって大きく異なります。一概に「何年持つ」とは言えませんが、製品が使用できなくなる主な原因ごとに、一般的な目安や注意点をご説明します。
1. くい丸が曲がって使えなくなる
くい丸は、打ち込み時よりも引き抜く際に曲がってしまうことが比較的多くあります。特に、バックホー(油圧ショベル)などの重機のアタッチメントで無理に引き抜こうとすると、杭に対して真っ直ぐに力がかからず、曲がりやすくなります。
専用の杭抜き機(くい抜き丸シリーズなど)をご利用いただくことで、杭に無理な力をかけずに引き抜けるため、繰り返し使用できる回数を増やすことができます。
2. 錆(さび)による劣化
くい丸には溶融亜鉛メッキによる防錆処理が施されていますが、環境によって錆の進行速度は大きく異なります。以下は、標準仕様のくい丸をメンテナンスせずに使用した場合の、環境ごとの参考耐用年数の目安です。
- 海中:約2年程度で本体に穴が開くレベルの腐食が進行する可能性があります。
- 海辺(塩害地域):3〜5年程度で激しい錆が発生する傾向があります。(潮風や海水のしぶきが直接かかる環境では、さらに短期間で錆が進行します。)
- 一般的な農地:5〜7年程度は問題なくご使用いただけるケースが多いです。(ただし、使用する農薬や肥料の種類・頻度によって耐用年数は大きく変動します。)
- 太陽光発電施設(野立て):ソーラーパネルの下など、直接雨がかかりにくい環境では、錆の発生は比較的緩やかです。(ただし、除草剤の種類やパネル洗浄剤の成分によっては、メッキ層に悪影響を与える場合があります。)
これらの期間はあくまで目安です。例えば市街地であっても、交通量の多い道路沿いでは排気ガスの影響で錆びやすくなるなど、設置場所固有の環境要因によって耐用年数は大きく変動します。
3. 繰り返しの打撃による頭部の損傷
地盤調査や下穴あけ(先行杭)のような用途で、同じくい丸を繰り返し何度も打ち込む場合、打撃によって頭部の金具(叩く部分)が徐々に変形・損傷し、最終的に使用できなくなることがあります。
このケースでは、使用頻度や打ち込み方法に大きく依存するため、一概に耐用年数を示すことは困難です。一般的には、細い(直径が小さい)くい丸の方が頭部へのダメージが蓄積しやすく、耐用期間が短くなる傾向があります。
手打ちテーパーキャップを併用していただくことで、頭部への衝撃を緩和し、耐用期間を延ばす効果が期待できますので、ぜひご検討ください。