土留めと一口に言っても、もちろん土地の造成などの土木工事である程度大規模に行われるものが多いのですが、もっと小規模なものをDIYに近い感覚で作られるものも結構あります。

 例えば災害復旧時の応急処置の他、「先日の大雨で自宅の裏山の斜面が崩れそう」や、「工事で少し山肌を削ったので下の方に土が流れないようにしたい」、「ガーデニング用に土を買ってきたので、仕切りを作って崩れないようにしたい」など、実に様々な目的があります。もちろん農業でも土留めを作る機会が多いと思います。

 今回は、自社で保有されている山に山道を切り開いた時に、切った木をそのまま活かした土留めを構築された事例をお届けします。

土留めのスペックを解説

 丸太の直径が20cm程度とすると、丸太が7段で高さは約1.5m。結構高いですね。杭の間隔は約50cmです。横からの荷重を分散させるためにやや短めの間隔にされています。中には1mほど打ち込んで頂きました。

土留めなどの打込み深さの参考基準は

 土留めのように横から荷重がかかる用途では、当店では最低50cm、もしくは地上高の1/2程度の打込み深さ(根入れ長)を1つの参考基準としてお伝えしています。つまり、地上高1mの時は打込み深さは0.5m、地上高2mであれば打込み深さは1m程度となってきます。もちろん、地面の状態により必要な打込み深さ変わってくるので、あくまで参考としてとらえて下さい。

くい丸と丸太は番線で結束

くい丸と丸太は番線(太めの針金)で縛り付けられています。

 一見、番線で縛ってあるだけだと不安に思われるかも知れませんが、今回の作り方では、丸太の裏側(杭のない方)に土が溜まってくれば、土で押されて丸太が安定する仕組みになっています。つまり、土留めが効き始めるまで丸太が崩れてしまわなければそれで良いので、このまま仮に番線が錆びて切れてしまったとしても、もう丸太が崩れる事はありません。

きれいに土留めができています

 丸太が精度良く出来ているため、積み上げただけでもかなり綺麗に土留めが出来ている事がわかります。また、土留めの場合は、少し水が通るようになっていないと、土圧に加えて水圧もかかってくるので荷重が変わってきます。丸太であれば、じわじわ水が山道側に出てきますので、その意味でも良い土留めだと言えます。

低コストの土留めができました

 今回は、ご自身の保有林から作った丸太で土留めを作って頂きましたので、かかった費用は杭のみです。十数メートルの区間で20本程の杭を使って頂きましたので、仮に杭を2mの長さとすると、全部で6万円ほどということになります。(※価格は執筆当時)

 土留めとしては格安ですね。軽トラックに発電機を積んで頂ければ、機械で打込みも楽々です。

土留めの安定計算も承ります

今回は、私有地でなおかつお客様のリスク判断で設置して頂きましたが、公共工事などでは、土留めの安定計算が必要な場合もあるかと思います。そうした場合の計算も承りますのでお気軽にご相談下さい



今回もお読み頂きありがとうございました。



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