くい丸は繰り返して使える事が売りですので、「どうやって抜くんですか」とのお問い合わせをたくさん頂きます。
単管杭(切りっぱなしの鉄パイプを杭にしたもの)を抜く場合には、単管クランプを取り付けてテコの原理で抜いたりしますが、くい丸は単管杭に比べてはるかに抜けにくいので、なかなかテコの原理では抜けてくれません。昔はテコの原理で抜くための金具も販売していてたのですが、今では廃番となりました。
ということで、今回はくい抜き丸(R)のロッキーリングの使い方を詳しくご紹介します。
ロッキーリングは、独自の「引っかけ金具」です
くい丸を引き抜くための金具は2種類あり、一つは「くい抜き丸ジャッキ併用タイプ」で、もう一つがこの「ロッキーリング」です。どちらにも向き不向きがあるので、上手に使い分けて頂く事で効率的な引き抜きができます。
ロッキーリングの特長は、ずばり「非常に強力な引き抜き力に耐えるアタッチメント」だという事です。
一般的に、杭というものは抜きはじめが一番抜けにくく、一旦抜け出すと後はスルスルと抜ける性質を持っています。これはくい丸だけでなくどの摩擦杭に言える特性です。
という事は、初期抜き(抜きはじめ)の時に一番力が必要ということになりますので、例えば単管クランプなどにジャッキを引っかけて抜いたとしてもクランプがズルズル滑ってしまって杭を抜く事が出来ませんよね。
ロッキーリングは、くい丸の本体に留めるタイプではなく、頭部に引っかけて抜くタイプの金具ですので、ロッキージャッキを使って1トンを超えるような大きな力でくい丸を引き上げる時にもしっかりくい丸を保持する事が出来ます。
くい丸への取り付けかたは簡単です
作業の手順としては、まずくい丸にロッキーリングを引っかけます。
切り欠き部分をくい丸の頭部にはめるだけなのでとても簡単です。
後ろから見るとこんな感じですね。
ロッキージャッキへの取り付けは、ほんの少しだけご注意下さい
くい丸への取り付けで迷われるお客様はいらっしゃらないのですが、たまに「ジャッキが取り付けられない」とお電話を頂く事があります。
確かにデザイン的に若干紛らわしいのです。なぜそのようなデザインになったかは後ほどご説明しますね。
まずは取り付けた(ジャッキのツメを引っかけた)状態の写真をご覧下さい。
ロッキージャッキの赤いツメがリング部分の下部(底)に当たっているのがお分かり頂けるかと思います。このままジャッキアップしていけば、杭が抜けていくという寸法です。
お電話頂くお客様は、ほぼ全ての方が「リング部分にジャッキのツメが入るはず」と思っていらっしゃるのです。商品名がロッキー”リング”ですからね、、無理もない事だと思います。
この取り付け(引っかけ)さえクリアすれば後は簡単。頑張ってジャッキアップすればグイグイ抜けてくれるはずです。
ロッキーリングのリングの使い方
では何のために紛らわしいリングがあるんだという話ですが、実はジャッキ以外のものでもくい丸を引き抜けるようにするためなんです。
写真のようにシャックルを掛ける事が出来るので、ユニック車についているクレーンなどでくい丸を抜く事が出来るんです。
ただし、以前に試験で打った杭を13トントラックに取り付けた3トンクレーンで引き抜こうとしたところ、くい丸のあまりの抜けにくさにトラックが横転してしまうんではないかとヒヤヒヤしたことがありました。もちろんアウトリガをしっかり張り出して、ブームも一番縮めて、の事です。恐るべしくい丸。
ありがとうございました。
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