実は、よほど注意深く見ないと分からないのですが、東京ー新大阪間を走る東海道新幹線の線路の両脇にはくい丸がなんと7万本以上(!!)も使われています。 

 新幹線は、世界的にも極めて評価の高い運行の安全を保つため、毎日の営業終了後にレールが熱影響等で沈んだり盛り上がったりしていないかをまで緻密に点検しています。その際、レールの変化をチェックするための基準になる杭が必要となります。そこにくい丸が採用されました。 

東海道新幹線レール基準杭
東海道新幹線レール基準杭


 採用の決め手になったのはやはり難地盤への施工性でした。くい丸のハガネでできた尖端が、普通の杭では打ち込む事すら困難なバラスト(線路の小石)面においても施工を可能にしたのです。
 作業は、太さ48.6mmのくい丸を、電動ブレーカーを使って線路脇に10mに1本の間隔で、頭が少し見えるくらいまで打ち込まれています。 

電動ブレーカーでバラストにくい丸を打ち込まれています。
電動ブレーカーでバラストにくい丸を打ち込まれています。


 しかも、JR東海様における設計上の想定耐用年数はなんと30年!! 国産品(日本製)ならではの高品質が評価されている事がよく分かります。 

 写真では分かりづらいですが、基準となる高さを微調整できるよう特別な工夫もなされているだけでなく、このくい丸を打ち込むためだけの専用アダプターまで開発されたというのは驚きです。 

今日もくい丸は新幹線の安全運行のための縁の下の力持ちとしてがんばっています。